藤右衛門さんと夏の桜

春、たくさんの人を幸せにしてくれる桜。3年ぶりに祇園祭が戻ってきた京都に桜守の戦いは始まっていました!

 

ⅰ 2022京都夏を振り返る。

 つい先日まで青々としていたモミジが少しだけ秋の装いに変わろうとしている10月。

 色々なことがあった夏を少しだけ振り返ってみました。一番の思い出は、3年ぶりに京都に戻ってきた祇園祭。

 宵山(よいやま)の晩、たくさんの山鉾に駒形提灯の灯りが燈され、祇園囃子が町内のそこかしこから聞こえ、巡行の日には、久しぶりに観る山鉾にたくさんの拍手が……。(前祭の一番最後に登場した船鉾は迫力がありました!)

山鉾巡行23番目船鉾

 

旬の豆知識! 【山鉾の順番】顔マーク

 7月17日の前祭に23基、後祭の24日には11基の山鉾が巡行します。ところで、この山と鉾、巡行する順番を京都市役所・市会議場のくじ取り式で決めるそうです。羽織袴の町の名士の方たちが意中の順番を引き当てた時のあの笑顔。(昔、駄菓子屋さんのアタリくじを引き当てた悪ガキのよう…失礼です)

 

 前祭の15番目ぐらいに巡行した綾傘鉾。2019年8月にNHKで放送された「京都人の密かな楽しみBlue修行中-祇園さんの来はる夏」の板前甚(じん)君が扮した踊り手をふっと思い出しました。

 

ⅱ 夏の円山公園

祇園祭と五山の送り火が終わった8月下旬、運転手さんに「お客さん、この時期に円山公園ですか⁈」いぶかしそうな顔をされ、タクシーは四条大橋を渡って祇園街を抜けると八坂神社の西楼門へ。

 八坂神社の奥に春、桜で有名な円山公園があります。毎年、4月の第一週ぐらいだと思いますが、淡いピンクの花を咲かせる「一重白彼岸枝垂桜」という一本桜。

 

 春満開の花を咲かせる頃、この桜を訪れる人たちで垣根の周りは人だかり。みんな、幸せいっぱいな表情です。別名「祇園しだれ桜」といって、京都人が一番大好きな桜です。

 でも夏の桜……… もちろん、桜の花もとっくに散ってしまい、写真のように青々とした葉っぱが生い茂り、ほとんど立ち止まる方もいません。

 これがたおやかに枝垂れていたあの可憐な桜?  少し不思議な感じがしました。桜の木は夏の陽ざしを浴びて元気いっぱいに葉を広げていたのです。

 

ⅲ 藤右衛門さんと夏の桜

 京都に桜守として有名な佐野藤右衛門さんという方がおられます。桜の時期になるとテレビにも引っ張りだこで、今は全国の桜のお世話をしておられます。

 その藤右衛門さんが書かれた『桜守のはなし』の中にこんな一節があります。

 「夏は桜の幹をふとらせるときですわ。このときにだいじなわたしらのしごとは、ちゅういぶかく観察して、虫や病気をたいじすることです。あの暑さのなかで、桜は『さあ、体力をつけるぞ』としています。」

 「そやけど、そのころは湿度や気温も高くなって、幹や葉っぱに虫や病気が出やすくなる。虫や病気をみつけても、すぐに注射器などではらってやれば、大きなことにはなりません。でも、気づかんとほっておけば、とりかえしのつかないことになる。「守り」のしごとのだいじな季節ですわ。」(原文のまま ) ☆『桜守のはなし』(佐野藤右衛門著 講談社)

 

P.S.  藤右衛門さんが注射器から吹きかけた魔法の煙草の煙。桜は、この夏、元気いっぱいでした。

 来年、たくさん花を付けた桜を観られますように!

 

顔マーク旬のおすすめ!【桜 満開のタイミング】

★気温の影響なのか、ここ数年3月末に満開を迎える桜もあります。京都新聞の桜開花情報が丁寧でわかりやすいと思います。

円山公園の枝垂桜をご覧になられた日は、近くの高台寺、清水寺がお勧めです。少し離れていますが、満開時期が近い醍醐寺の桜も圧巻です。

 

【円山公園 枝垂桜】

京都市東山区円山町(阪急線「河原町駅」徒歩20分、京阪線「祇園四条駅」徒歩15分)

初代の桜は樹齢220年で昭和22年に枯死し、現在の桜は2代目

薄紅色の祇園枝垂桜(エドヒガン)

 

顔マーク

旬のおすすめ! (2023桜 スポット)

➀ 醍醐寺 豊臣秀吉の「醍醐の桜」で有名なところ。ソメイヨシノ、ヤマザクラ、オオシマザクラが咲き乱れています。桜の原生種の一つにエドヒガンがあるのですが、醍醐の方は「江戸桜」と呼んでいたのが印象的でした。

 

② 花見小路そば新橋通  京都市内にはちょっと小道に入ったところに可愛らしい桜があちこち咲いています。ガイドブックには載っていない自分だけのスポットが幾つも探せます。

 

③ 京都府庁の桜  枝垂桜が満開になると明治37年に建てられたアンティークな建物とマッチングしてエキゾチックな雰囲気です。

 

④ 清水寺  京都で観光客が一番多い名所です。桜の時期だったら早朝6時ぐらいに早起きしてゆっくり散策するのもいいと思います。

 

⑤ 将軍塚  蹴上駅からタクシーか健脚の方は少し山登りを兼ねて。京都市内が一望できます。桜の時期はライトアップもしています。

☆「2023 桜特集」を3月に掲載する予定です。ぜひご覧になられてください。

 

 

 

 

 

 

 

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