サンタさんがやって来る街
ⅰ 北山通
ブログのテーマ探しでいつも困ってしまうのは、取材日と投稿日の間隔です。
こんなテーマにしたいと思って天気とにらめっこ。現場に直行し、写真撮影も何とか上手くいって、原稿書き………。
ふと気がついたら、取材から2,3週間も過ぎ、掲載した写真が季節外れになっていることもしばしば。
『サンタさんがやって来る街』もクリスマスをとっくに過ぎてしまったテーマになってしまいました。笑
ちょっとだけ時計の針を巻き戻して、昨年のクリスマスイブの様子をご覧ください。
ところで、この取材のきっかけになったのは10年前の街角の本屋さんです。店先の雑誌をめくっていたら、ふと目に留まったのがご紹介する北山通のクリスマスだったんですね。
それは、お寺や神社が多いこの街のイメージとは少し違った風景でした。
北山通は、京都市の東西方向を結ぶ幹線道路の中で最北にあります。
その昔、平安京の都が出来た頃は一条大路が一番北だったので、北山という通りは存在しませんでした。
1985年に北山通は開通し、通り沿いには地下鉄・烏丸線の北山駅と松ヶ崎駅があります。
京都駅から北山駅まで15分ぐらい、付近には瀟洒なマンションやファッションのお店、小粋なレストランが建ち並んでいます。
京都府立植物園があるのも北山駅の近く。
ここは、ちょっと穴場です。
どうして穴場かというと、植物園は、地元の人しか知らない隠れた桜の名所になっているからです。
ヤマザクラ、オオシマザクラ、ヤエベニシダレ、サトザクラ……京都中で観られる桜がほぼ集結しているところ。
桜の季節、京都中が花見客でいっぱいなので、静かに花見をされたい方にはお勧めのスポットです。
植物園のすぐ近く賀茂川沿いには、半木の道(なからぎのみち)と呼ばれる遊歩道もあります。
京都では一番長いシダレザクラの散歩道も見逃せません。
ⅱ サンタさんがやって来る街
2024年12月24日、キリストの生誕を祝うイブの日。昼間の晴天が嘘のように、青空はいつの間にか雲に覆われてしまいました。
京都ノーザンチャーチ北山教会の尖がり屋根には、ひと際大きなクルスが。
夕刻18時過ぎ、サンタクロースに扮したスタッフが通りでキャンディを配っています。
教会に一組二組と集まって来る信者。
クリスマスの飾りを整えた教会が皆を待っていました。
ふと気がつくと、普段は真っ暗な北山通が大小の電光飾の帯に。
ノーザンチャーチ教会の通りの向こう側にも、金色に輝くクルスを見つけました。
北山ル・アンジュ教会です。
サンタクロースのモニュメントの下では子供たちへ渡すプレゼントの準備に大忙し。
ノスタルジックな光景に、つい子供の頃のクリスマスを思い出しました。
小さい時、トナカイに乗ったサンタクロースは本当にプレゼントをもってやって来ると思っていました。
両親に、うちにはどうして煙突や暖炉がないのとせがんだことがあります。
北山に出かける前、久しぶりにサンタクロースの本を読みました。
4世紀の東ローマ帝国の時代、ニコラウスという司教は、貧しい家族が三人の娘を身売りするという話を聞いたそうです。
真夜中、ニコラウスは金貨を家族の家の窓から投げ入れました。
金貨は、暖炉に下げられていた靴下の中に入って………おかげで娘たちは身売りをされずに救われたんですね。ちょっと忘れていたサンタさんの物語です。
クリスマスは、どこかメルヘンの世界と本当の世界が交錯して、信者でなくても楽しい一日。
この日、通りのお店もひと際賑やかでした。
北山通は、地元では十二間通(じゅうにけんどおり)の愛称で親しまれています。
どうして ″ 十二間 ″ かというと、この道路を造った時に道幅を21.8m(十二間)にしたからだとか。
実はここにこの通りが愛されるもう一つの理由があります。
″ 十二間 ″ は、人が道を横切れるぐらいの幅なので、両側の空間が一つにつながっている感じがします。
東京にも、自由が丘や代官山のように、そんなところから親近感を感じる街並みがありますね。
(掲載した写真は、クリアンテール・ケーキ屋さん、東洋亭・明治30年創業の洋食屋さん、開晴亭・明治43年創業の洋食屋さん、INOBUN・高級雑貨屋さん。)
続いて、ノートルダム学院小学校の校庭に飾られたクリスマスツリーをご紹介します。今回の撮影で一番印象に残った一枚でした。
アーチ状にデザインされた校舎から零れてくる灯りと、誰もいなくなった校庭。
クリスマスツリーは、そこにポツンと立っていました。
正門はすでに閉じられ、校庭の中に入ることはできません。警備員さんにお願いして、門扉越しにツリーを撮影させてもらったのがこの一枚です。
小学校の脇道を入ると、ノートルダム女子大学の正門。
ここには、雪化粧をしたクルスのイルミネーションが。ちょっと幻想的な雰囲気です。
この日ばかりは、あのノートルダムの制服……千鳥格子模様のチェック柄に茶色の制帽とズボンの小学生にも出会うことはありませんでした。
ⅲ 編集後記
最後に、北山バプテスト教会をお届けします。
クルスとステンドグラスが夜空に浮かび上がった教会の前を通りかかると、中から楽しそうな笑い声が聞こえてきました。
教会では、2011年の東日本大震災を機に太陽光で発電をしているそうです。
素朴な佇まいの教会を眺めていると、学生時代、教会のボランティアに参加してクリスマスリースを作ったことを思い出しました。
そう言えば、社会人になって間もない頃、JR東海のコマーシャルに『クリスマス・エクスプレス』が登場したことがあります。
☆ マールブランシュ京都北山
CMには、山下達郎さんの「クリスマス・イブ」が流れ、故郷に帰ってくる彼(長澤ユキオさん)の到着時間に遅れまいと、彼女(牧瀬里穂さん)は駅の改札まで途中転びながら走り続けます。
改札口でようやく彼を見つけると、柱の陰で待ち伏せる彼女。
「クリスマス・イブ」はCM放送後、オリコンチャートで30週続いたランクインではじめて1位に。
CMと山下さんの歌声に、誰もが心の中にあったクリスマスを感じた時代だったんですね。
そんなCMとは全く違うシーンですが、どこかCMのようにあったかい気持ちになる北山のクリスマス、ぜひ訪れて見てください。